• テキストサイズ

古きパートナー

第18章 殺伐の春


新1年生が入学式をしている頃

僕達は中庭に集まって大きな掲示板に視線を巡らす

その後ろでは喜び合っている人もいれば残念がっている人も多くみられた

幸「やあ」

『おはようございます、幸村君』

そんな掲示板から少しだけ離れた場所に立っていた僕に

声を掛けてきた男子テニス部ご一行

仁「なんじゃ、幸村。なんか恨みでもあるんか?」

多少不機嫌な仁王君は朝が弱い

それを知らなかった僕は昨日の晩に幸村君から電話が掛かってきた

幸「こんばんは氷月。今、ちょっといいかな?」

『少しだけ待ってください。はい、なんでしょうか?』

幸「実は頼み事があるんだ」

『?、頼み事ですか?』

幸「そう、新学期の初めに遅刻するヤツがテニス部の中にいるんだよね」

『もしかして、朝お隣さんの仁王君を起こして学校へ向かうのですか?』

幸「察しが良くて助かるよ。まさにその通りさ。任せたよ」

嵐のような電話が終わり暫く携帯のディスプレイを眺めてから眠った

朝起きて、制服に着替えてからお隣さんの家へと向かった

12月の事がきっかけでお隣さんにはスペアキーを渡されている

それを使って部屋の中に侵入する

登校時間にはまだまだ余裕があったので勝手に台所を使い朝食を作っていく

と、言ってもご飯に味噌汁にその他と言ったような簡単な和食

自分はそこまで洋食を好まない

グツグツとお湯が鍋の中で騒ぎ出せば

すぐに味噌を取り出して溶かしていく

そのまま、長ネギとワカメを味噌汁の中に入れて軽く煮込めば完成

白い炊き立てご飯は自分の部屋から持ってきたので問題ない

そして、最後に目玉焼きと茹でたウィンナーを皿に盛り付け

キャベツと人参の千切りをレタスの葉の上に乗っければ

朝食の3品が完成する

そして仕上げに(?)

寝室の扉をノックする

『仁王君、朝です。起きてください』

ドア越しに返事を求めても伝わらないので

『失礼します』

中に入って直接起こす事に

仁王君の寝顔を見るのは何回目だろうか

雨の日に一緒に寝ていても起きてしまう自分は

暫く仁王君の顔を眺めてから音楽プレイヤーを出しにベットから降りる

『仁王君、朝です。早く起きないと幸村君に怒られます。主に僕が』

仁「ん...?」

私に背を向けていた仁王君が起きて此方を見て

瞬きを数回繰り返した
/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp