第17章 甘い日
大「来年、2人」
『?』
大「新1年生に気をつけな」
『......』
大「お前を殺そうとしている年下の人数さ」
あざ笑うかのように大きな口から低い声で言われる
『大河の刺客ではないですよね?』
大「残念だが、ここ数年は一般市民との関わりもなければ子供との接触もないぜ」
『では?何故その情報を寄越すのですか?』
大「気に入ってるからさ。俺の特別なお気に入り。すぐに死んでも困るからな」
『...やはり、変わっていませんね』
大「お前は昔と比べると丸くなったな。俺に反抗していた時期は何処へ行ったのやら」
『残念ながら反抗期は過ぎました』
大「そうかよ、つまんねーな」
『要件は終わりましたか?』
大「...そう言う事か」
大河と呼ばれた大男は俺達をぐるりを見渡す
『これは本当に返品しますね』
南「氷月!?」
氷月はナイフを持ち帰ると大河にそれを投げつけた
大河は奇妙に笑いながら氷月と同じようにナイフを掴む
じゃが、氷月が投げたのは額の部分じゃ
大「コントロール、スピード、正確さ。...あの時のままだな。面白い」
狂気に満ちた表情でナイフをケースの中にしまうと
それを懐に入れた
大「お前との殺し合いがしてみたいな」
『僕は嫌ですね。面倒ですし』
大「ハハッ」
小さく零した笑い声は雪に吸収されていく
大河は俺達に背を向けて公園の出口へ向かった
大「氷月」
『!、はい』
大「あの2人はお前の事を知っている」
大気を震わせるくらいの低い声で忠告を1つ
そしてその場でくるりと振り返れば
大「お前の立場が危うくなる可能性もある。学校に居られなくなるかもな」
『ご忠告感謝します。けど、どれだけ立場が危うくなっても高校を卒業するまでは通い続けるのでご心配なく』
大「そうかよ」
真剣な表情で再び俺達を見渡すと大河は何処かへ行ってしまった
『2人、か...』
氷月の零した台詞を聞き取れたヤツは居ったじゃろうか
南「はぁ~...」
柳生「三輝さん!」
ジャ「三輝!」
その場で立って居った三輝が雪の上に尻餅ををついた
仁「氷月、その殺気をしまうんじゃ」
『?、わかりました』
殺伐とした空間が消え去り
氷月のオーラも戻った