第17章 甘い日
母「あったわ!ココアパウダー!」
『そうですね』
上風家の近くのスーパーで買い物をしている最中だ
昼に電話があったのは都美子さんからだった
たまには女性同士で買い物をしましょ、と言ってくるが
本題はこの先である
ケーキの材料から装飾品を食品売り場で一通り買い
2階の小物売り場で厚紙のケースを買った
これは小学生の時やアメリカに留学しているときにやっていた事なのだが
『今年は多いですね』
母「あの方達にもしっかりと上げないとね。氷月の手から」
『......』
何となくこの先の事が分かってしまう辺り
自分は自分の感の鈍さを恨んだ
母「しっかり作るのよ!」
『わかりました』
母「しっかり渡すのよ!」
『わかりました』
自分が今住んでいるアパートの目の前で都美子さんと分かれて部屋に入って行く
買い物袋を台所へと置き、中身を冷蔵庫の中にしまっていく
夜に作ればいいやと思っていたが生地だけでも先に作ってしまおうと料理に掛かった
何時ものように制服をハンガーにかけ、カッターシャツを洗濯機の中へ
部屋着に着替えて台所へ立つ
大人数作るのにはケーキが良いと思いケーキの生地を作りながら何にするのか考える
ケーキが大好きな丸井君は論外だし、切原君もある程度は好きだと言っていた
幸村君も柳君、桑原君、柳生君もある程度と言っていたし
真田君と仁王君は甘い物が苦手だと言っていたな
と思い生地を型に流し込んでオーブンの中へ
料理本は都美子さんが帰りによった本屋で購入した
甘くなさそうなケーキは何かないかと思いページをめくる
そうだ、ティラミスならいいんじゃないか
生クリームも甘さ控えめで作れば良いし、ココアパウダーも何故か、何故か買っている
都美子さんの策略ではないかと思い机の上にあるココアパウダーを睨む
チンッとオーブンがなると辺りはすっかり暗くなっていた
生地を取り出して外気に当てて熱を冷ましていく
その間に甘さ控え生クリームを作った
まだ生地は熱いのでそのまま放置をすると
玄関に誰かいると思い玄関へ向かっていく
こう言うのには敏感でよかったと心の底から思った事だった
仁「そんで、氷月からは何もくれんのか?」
『何かいりますか?』
仁王君の部屋で夜ご飯を食べた