第17章 甘い日
白川側
3学期が始まりクラスメイトは明日が待ち遠しいみたいだ
明日は2月14日
世間ではバレンタインデーと呼ばれている
そして、今がピンチであった
「白川君、甘いの平気?」
『ほどほどには』
「じゃあ、苦いのは?」
『大丈夫です』
朝からこの手の話題である
授業と授業の間の休み時間まで聞いてくるのには正直驚いた
と言うか、何故自分はそんな事を聞かれているのであろうか?
疑問が絶えない今、お昼休みとなり
仁「氷月、行くぜよ」
『わかりました』
「白川君!明日の帰りは忙しい?」
『あ、はい。部活動の事とか家の用事がありますので』
「そっか、じゃあ楽しみにしててね」
鞄から珍しく持ってきたおにぎりを1つ持って屋上へ向かう
幸「白川君は人気だね」
『なんだか楽しそうですね』
柳「裏では人気だからな、ファンクラブもあるらしい」
『誰のですか?』
丸「いや、氷月のだよぃ」
『......』
ファンクラブ
そんな物があったなー、と思い
サランラップで包まれていたおにぎりに噛みついた
南「氷月の事をまだ男と思っているんじゃないの?」
『あ...』
ジャ「忘れてたのか」
自分では何も言わないし、君付けにも慣れているのでわからなかった
柳生「氷月さんは、その」
『?』
柳生「男として見られるのはどう思っているのですか?」
『......』
はて、男として見られるのも女として見られるのもどうも感じないな
『どうもしません』
真「だが、嫌な思いをしているのでは?」
『どうでしょう?慣れてしまえばわかりませんから』
幸「そうだね、氷月君」
『......』
幸村君の笑顔はこれほど黒い物だとは知らなかった
だけど恐怖はない、色んな恐怖を体験してしまえば
『はぁ...』
柳「129回目」
『...何がですか?』
柳「俺が数えた溜息の数だ」
ジャ「なんてもんをカウントしてるんだよ」
丸「もはやデータと関係ないぜ」
仁「参謀が危ない奴に見えてきたナリ」
『...はぁ...』
柳「130回目」
なんか、疲れてきたかもしれない
ポケットに入れてある電話が急に震えた