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古きパートナー

第16章 明かりが欲しい


仁王側

奈々子ちゃんの母親を見つめる目が優しかった

じゃが、その後に少しだけ顔をしかめた

親子が医務室から出て行くと氷月はため息を零した

俺にはその姿が安心した姿の用に見えた

仁「聞こえたんか?」

『...はい』

両親を自分の手で殺した氷月は

時々頭の中にその時の台詞が蘇るらしい

実際、俺達には聞こえとらんし全くわからん

壁に背中を預けておる姿は本当に疲れておるようじゃった

柳生「大丈夫ですか?氷月さん」

『はい、大丈夫です』

切「氷月先輩、その、あの、傷の具合は」

『ようやく塞がった所です。後1日此処のお世話になるだけですから』

ジャ「よかった」

無表情なのは変わりないが

彼女の口から紡ぎだされる言葉はもう自分の物じゃった

他人行儀の言葉ではなく、自分の言葉を使っておった

それが何処となく今1番嬉しい事じゃ

柳「では2日後はどう過ごすのだ?」

『運動はあまりいけないと言われたから、部屋で過ごします』

柳「お前の「部屋で過ごす」は信用できんな。よくフラフラと消える」

『ご迷惑をお掛けして申し訳ございません』

仁「丁寧過ぎるとお前さんの言葉に聞こえんナリ」

幸「そうだね、この機会に俺達にタメ口と名前で呼ぶ事にしてみたらどうだい?」

『え?』

真「ム、良い考えだな。何処となくまだ距離を感じられるからな」

丸「まさか、俺達の名前を忘れた訳じゃねよな?」

『覚えています』

切「呼んでくださッスよ!氷月先輩」

『え、えーっと...』

切「氷月先輩、早く!」

『あ、赤也、君...』

柳「氷月、敬称が付いているぞ」

『急に取れと言われても無理ですから』

幸「じゃあ、名前呼びと敬語禁止でどうかな?」

『無理です』

ジャ「即答かよ」

『せめて敬語の許可はください』

幸「俺は1番敬語を禁止したいんだよね」

『......』

幸「ダメかな?」

柔らかい視線の中に鋭さがあり、ニヒルに微笑む黒い表情

顔立ちがええから表面上は人気じゃ

中身をしっとる俺達じゃからこそ要注意

それを知ってか知らずか氷月は1歩も引かん

『せめて、私生活での許可をください。部活動ではタメ口を試みます』

幸「まあ、しょうがないね」
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