第16章 明かりが欲しい
俺の手を繋ぐ力が強まって行く
それだけ今のレインにとって氷月は大切な存在なんか
?「仁王君...たす、けて...」
仁「!、氷月っ!」
何処からともなく聞こえてくる氷月の声
段々と空気が重くなり、周りは黒い靄で視界が奪われる
息苦しさで足が重くなるがそんな事も言っておれん
レ「陰っ!」
仁「なっ!」
一番奥へとやってこれば氷月は十字型に宙からぶら下がっていた
氷月の周りの空間は何処か違い、黒い鎖で縛りあげておる
苦しそうな表情をしながら眠っておる人物は
かすかに開いてる口から吐息を零して居る
仁「氷月!闇に飲まれるんじゃなか!約束したじゃろう!」
『闇が、僕の、中、に、注ぎ、こまれて、行く...』
口を動かし、絞められておる首から微かに聞こえる声
『深く、深く、入って、いく...』
レ「陰っ!」
仁「俺が光じゃ!俺は此処におる!お前さんの目の前におる!」
『に、おう、君...たす、けて...』
仁「!」
瞼を懸命に持ち上がる目には見た事もない綺麗な涙が溜まっておる
『苦しいよ、寂しいよ、寒いよ、帰りたいよ、皆の、所に、帰り、たい...』
初めて聞いた氷月の弱音は重く苦しいものじゃった
闇の中が苦しい、人に会えない寂しさ、何もない寒さ
家族の元に、俺達の元に帰りたいと願う
仁「拒むんじゃ。闇を拒んで、俺達を信じるんじゃ!」
『わか、らない。人を、どう、信じれば、いいのか』
仁「お前さんは優真をどうやって信じておるんじゃ?」
『何時も、傍にいて、くれて、安心、する、から』
仁「なら俺はどうなんじゃ?」
『仁王君と、いると、胸が、締めつけ、られる、ほど、居心地が、いい』
仁「闇と俺とどっちを取る?」
『僕は...』
仁「俺を求めるんじゃ。お前さんのせいで不幸になるとかなんて誰も思っておらん。優真がおるからお前さんに優しくしとるんじゃなか。虐められていた事に哀れみもないぜよ。ただ俺達は、お前さんの事を、氷月の事を」
「「大切に守りたい!」」
仁「!」
振り返るとそこには皆がおった
皆は微笑んでおり、俺も釣られて微笑んでしまうナリ
『皆?が、見える...』
仁「お前さんは1人じゃなかと」