第16章 明かりが欲しい
幸「間に合ったみたいだね」
真「レインが俺達を此処まで連れてきたのだ」
柳「しかし、此処まで闇が深まっているとはな」
柳生「どれだけ溜めこんでいたのかがわかりますね」
丸「まあ、俺の天才的妙技でこんなの払ってやるよ」
ジャ「お前の妙技はどうでもいいが、俺も払うぜ」
切「氷月先輩、俺達に話してくださいッスよ」
上風「氷月、俺達は何時も傍にいるだろ?」
後ろから聞こえてくる声援に、黒い鎖は音を立てる
仁「そこにおると話しがしにくいじゃろ。もっとこっちに来んしゃい」
シャリンと鎖が音を立てるとそれは少しずつ欠けていく
幸「氷月」
真「氷月」
柳「氷月」
柳生「氷月さん」
丸「氷月」
ジャ「氷月」
切「氷月先輩」
上風「氷月」
皆が1人ずつ名前をしっかりとハッキリと言えば
『僕は、頼っても、いいの?』
仁「ああ、勿論じゃ」
『僕は、戻っても、いいの?』
仁「ああ」
『僕は、皆の、所に、行っても、いいの?』
「「当たり前だ!」」
バキンと音が鳴れば鎖が根元から切れておる
幸「俺達は裏切らないよ」
真「お前はそんな風にしたのは身勝手な大人達だ」
柳「お前は自分が助かるよりも仲間を優先した」
柳生「その結果はどうであれあなたはそれに協力しました」
丸「俺達は身勝手な大人でも、理由を知らないガキじゃねーし」
ジャ「お前への憧れは消えてないし」
切「優しい先輩を見捨てる事も出来ないッス」
上風「氷月、俺達にお前の重荷を分けてくれ」
仁「お前さん1人が苦しむのは、もうおしまいじゃ」
『...ありが、とう』
優しい温かな微笑みは今までに見た事のない綺麗な物じゃった
目尻溜まっておった涙は、白い頬を伝い地面へと吸い込まれて行く
誰もがその表情に驚き目を見開く中
黒い鎖は大きな音を立てて砕け散った
仁「氷月っ!」
一番近くにおった俺は宙から落ちて来る氷月の体を受け止めた
『仁王君、皆』
バタバタと足音が聞こえると俺と氷月の周りを囲んだ
仁「ほれ、お前さんの友達じゃ」
『友達?』
幸「あれ、もしかして同級生だと思ってた?」