第16章 明かりが欲しい
隣のベットで寝かせておった奈々子ちゃんが起きたようじゃ
氷月は刺さった所をガーゼで押さえ血が止まるのを待つ
その間、隣のベットでは親子の再開を喜んでおる
「おかあさんっ!おとうさんっ!」
泣きながら母親に抱き着く奈々子ちゃんは涙を零しながら親を呼ぶ
「奈々子、もう1人で何処かに行ってはだめよ」
「うんっ!」
母親の優しく叱られながらも元気に返事を返す
「おにいちゃんは?」
お兄ちゃん?ああ、氷月の事じゃったな
「......」
急に黙り込む両親を不思議そうに眺める奈々子ちゃんは
俺達の視線に気づいてかこちらを向く
「だーれ?」
俺達に向かって聞いておるのじゃろう
幸「フフフ、君の言っている「お兄ちゃん」のお友達だよ」
「おにいちゃん、どこ?」
柳「今、少し会えないが時機に会えるようになるだろう」
真「そんなに会いたいのか?」
「おにいちゃんにいっぱいたすけてもらったよ。おれいもしてないし、「ありがとう」もいってないんだ」
しゅんと小さく申し訳なさそうな表情をする奈々子ちゃんは
氷月の黒いコートを強く握りしめておった
「けがもしてちがでてて、でもおにいちゃんやさしくてあったかかったんだ。おにいちゃんのいうことをきいていれば」
柳生「なんと言われたのですか?」
「「待って」っていわれたけど、はしっちゃって」
廊下の事を言っておるのじゃろう
母「誠さん」
父「ん」
白いカーテンで区切られたベットに入って行く誠さん
それを見送ると俺達はそこで佇むだけじゃった
「おにいちゃんのけが、ひどいの?」
ジャ「大丈夫だ、アイツはそんなに弱くないぜ」
丸「ほら、飴でも食うか?」
「食べるー!」
ぱあっと明るくなる表情に俺達は安心する
「何から何までありがとうございます」
そんな俺達を見て父親は深く頭を下げてきた
切「俺達はなんにもしてないッスよ」
仁「赤也の言う通りじゃ。全部アイツがやった事じゃからな」
サァッとカーテンが勢いよく開いたのを見れば
誠さんと都美子さんが視線で合図を送っておる
俺達は無言でそちらに向かう
まだ青白い肌をしておる氷月の腕に赤い管が腕に刺さっておる
肌に触れてみるとやはり冷たく、肉も固く感じる
「おにいちゃん...」