第15章 殺人鬼
このまま部屋にいるのもつまらないと思い
寝ている子猫達に僕のコートで包んでから1階のロビーにある土産屋へ来た
名産物から隣の県の物まで多くを取り揃えており
日焼け止めや少しの化粧品も取り扱っていた
誠さんのおつまみ(漬物)を選んでいる
大根、白菜、那須、菜っ葉と種類豊富であった
誠さんの好きな菜っ葉の漬物を1つ拾い上げ
子猫のために小さな牛乳パックを1つ購入する
エレベータは好きではないので階段を上って行く事しようと土産屋から出た
『......』
事件は目の前で起きた
見知った女の子がソフトクリームを片手にロビーを歩いていた
もう片方の手は大人の女性が繋いでいたので母親と言う事がわかった
母親は女の子の手を離すとトイレへと行き
女の子はソフトクリームを舐めながらロビーに設けられているソファーへ向かう
床の隙間の段差に足を引っかけた女の子はそのまま転んでしまった
手に持っていたソフトクリームは弧を描きながら宙に放り出され
「冷たっ!」
と、柄の悪そうな男性の黒いズボンにべっとりと白色の柄がついた
『はぁ...』
小さくため息を吐いた
面倒事が増えたような気がして
「ガキ、何処を見て歩いてやがる」
「ご、ごめんなさい」
すぐさま起き上がった女の子は男性に頭を下げている
目尻には涙が溜まっており、体も震えていた
「あーあ、クリーニング代。半端ねぇぞ?」
「うぅ...」
涙を堪えて嗚咽が零れると、男性の口角が上がった
「親は何処にいる?あー?」
「うぅ...ひっく...」
『はぁ...』
これ以上、注目を浴びる女の子が可愛そうになったので
『これ以上はやめてください。この子も謝っています』
「なんだテメーは?」
「お、お兄ちゃん...」
はい、その言葉は聞きなれました
女の子の近くに行き目の前でしゃがむ
『怖かったでしょう?大丈夫ですか?』
出来るだけ精一杯、優しい声を出してみる
「うん...」
頭を撫でて立ち上がり男性の人に向き直る
片足がほんのりと温かくなった事に違和感を覚え下を見ると
女の子がしがみついていた
女の子を視線を合わせて柔らかい視線を注ぐと頬を赤らめて隠れてしまった
そして男性にはあの時習った、小さい頃にならった
冷たく鋭い視線を送る