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古きパートナー

第15章 殺人鬼


?「こんな所におったんか」

『?』

声が聞こえた方に顔を向ければ

少し焦った表情をしている仁王君が休憩所の入り口に立っていた

静かにこちらに歩いてくる

よく見れば額に汗を掻いていた

『......』

今、彼の顔をまじまじと見る事が出来ない

昨日の話を誠さんが勝手にしてしまったからだ

別に怒ってはいない、けどそれを知った彼らは

仁「氷月」

優しく名前を呼ばれるとつい彼の顔を見そうになる

『?』

頭の上に大きく暖かい手が乗っている

仁「俺達は変わらん。今までと一緒に接するナリ」

『!』

仁「大丈夫じゃ氷月。俺を信じても大丈夫じゃよ」

ドクンと心臓が鳴ると、胸の中にジワリと暖かい何かが広がった

先ほどの痛みが薄れ、頭の中に聞こえていた不吉な音が消える

仁「氷月、俺は此処におる。俺はお前さんを守って見せるぜよ」

『!、そんなのっ....!』

僕は彼の顔を見て立ち上がる

仁「ようやっとこっちを見たか」

『!』

彼の腕が僕を縛り、彼の手が僕の頭を固定する

一方は腰を一方は頭をしっかりと彼の体に密着させた

彼の胸の鼓動が速い、走ってきて疲れたのかと思った

腰に回された腕は力強い、まるで逃がさないために縛っている

不思議と自分の鼓動も速まって行くのがわかる

人肌に触れるのは嫌いなのに、彼の腕の中は胸の中は温かくて安心する

仁「氷月、俺は絶対にお前さんの事を守って見せる。これは誰にも譲らんし、変える気もない」

『仁王、君...』

仁「闇に落ちるな。俺は此処におる。お前さんを照らす光は此処におる。絶対に間違えるんじゃなか。迷ったら俺の所に来るんじゃ」

『...はい』

そこから朝の仕事を終えれば朝食だが

まだ気持ちの整理が出来ていないのかわからないが喉を通らなかったため

皆を部屋で待つ事にした

「「ニャー」」

『クロ、シロ』

ゲージの中から2匹を出せば元気にはしゃぎ回る

持ってきた皿に餌を盛り付け新聞紙を敷いてからその場に置く

仲良くご飯を食べる子猫を見つつ外を眺める

外は強い風が吹き、雪も降っている

この強風ならゴンドラもロープウェイも動かないだろう

年明け早々にスキーも出来なければ

僕の酷い過去も知れ渡る事となり

今年の始まりは最悪でもない中途半端だ
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