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古きパートナー

第13章 テニス


急に始まった幸村と氷月の試合

幸村は段々と相手の五感を奪っていくテニスをする

そのせいで氷月の動きは少しずつ悪くなっていく

『ッ!』

幸「はぁ!」

鋭い目つきでテニスボールを返していく

あの幸村の表情には余裕が見られんかった

世界のプロも認める「マジシャン」氷月が相手だからじゃ

それでも五感を奪われるテニスをどう感じておるのか

氷月の動きがピタリと止まった

これが意味するのは1つだけ

全ての五感を奪われた事になる

五感を奪われた対戦者は恐怖に陥り

幸村とテニスをする事を拒む者が多い

じゃが、此処におる赤也はそんな幸村を倒したいようじゃ

氷月のコートでボールが転がる

『ふぅー...』

大きく息を吐いた氷月の目は焦点があっておらず

体に力を入れるのがわかる

それはラケットを手放さないようにとしておるようじゃ

審判をしておる真田も止めん

幸村が真剣な目で「やめろ」と言ってるからじゃ

それでもしっかりと足取りでボールに歩いていると

右手でボールを拾い上げた

「「!!」」

『残念ですが、視界は良好です』

眼付が変わった、まるで射貫かれるような鋭い眼に

幸「ッ!」

あの幸村が少しだけ怯えておる

そして再開される試合

ボールを高く上げて打ち下ろす氷月

その時、一瞬だけ口元が笑って居った

試合は防戦一方の試合となった

五感を奪われておる氷月が幸村にこれでもかと思うくらいに攻撃する

曲線と直線の見分けがつかず、回転の掛かったボールは不規則に跳ねる

いつものように地面から跳ねると思えば

地面に吸い付けられたように暫く動きを止める事もあれば

そのまま地面に張り付いてボールが跳ねない事もある

恐ろしいテニスじゃ

そして、

『中和完了...』

そうやって口元がニヤリと笑った

そして次には

「「!!」」

コートを分断する程の直球が幸村のコートに突き刺さった

『...隼』

そして何時もの無表情で技名を言う

速い、少しだけ見えんかった

切「み、見えなかったッス...」

それ以上に気になったのは

相手に完全に背を向けておった事じゃ

普通、相手に打ち返す時は

前の足のつま先を打ち返したい方向に向けて打つのが多い

じゃが
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