第12章 答え合わせ
彼らは僕にテニスで敵わないから暴力を振るう
そして表情1つ変えない僕に飽きて
僕の親友を狙う、アリィとジルを
ジルの両親は自分の息子が虐められているとわかった時
すぐに遠くへと逃げるようにアメリカからイタリアの方に行ってしまった
恋人を、アリィを残して遠くに行ってしまった
僕は自分が虐められていても彼らを哀れとしか見えなくなった
暴力を振るっている暇があれば練習をすればいいのに
3年の春、右腕を集中的に狙われ2度目の交通事故が起きた
歩道を歩いている途中に、道路へと突き出された
飛ばされた方向と逆を見ればテニススクールに通う同年代の人だった
彼らは、僕を殺しに来た
そしてまた命だけは助かったが、右腕は絶対に治らない腕となった
何度も虐めにあい、何度も交通事故と見せかけた殺しが襲ってくる
事故に会うたびにアリィが見舞いに来てくれる
僕らの精神も体もボロボロだった
結局負けなしの僕に苛立ったのか
彼らは新しく入ってくる生徒達と試合させるように言った
そこで僕は感情を押し殺し、心を閉ざして戦った結果
テニスを始めようと思った生徒は次々とやめてしまい
終いには「殺人鬼」と言う異名を貰った
12月にアリィとストリート場でテニスをしていると
アリィは僕に名前をくれた
ボールを自由自裁に操る事が出来る天才「マジシャン」
それを貰った1月の下旬
夜、家に掛かってきた1本の電話
出ればアリィからであり内容は釈然としなかった
最後に「私、決めたの」
そう言って電話を切られた
その日は大雨で気温はさらに下がっておりとにかく寒かった
傘をささずにアリィの家に向かえば数分前に出て行ったと
僕はそこでテニススクールのあるビルに走った
今までになく真剣に足を動かして、今までにないくらいに焦って
道行く人にぶつかれば転ぶ事も少なくなかった
テニススクールのあるビルの前の歩道の信号
最後にアリィから電話が掛かってきた
アリィの言葉を聞いているうちに進めるようになり
ビルの下に行けば上から赤い物が落ちてきた
アリィが大切にしていた赤いセーターだった
アリィの体は地面と衝突した、トマトみたいに潰れた
手を伸ばせば届く距離だったのに
僕はそのまま路上に倒れた
病院で目覚めた時には優真の顔があった