第12章 答え合わせ
あるコーチは僕をどの生徒よりも教えた
記憶がない不安感に飲み込まれる前に
テニスをしている楽しさを覚えてほしいから
中学1年の夏に街で開催される小さな大会に参加した
僕はそこで初めて優勝を果たし、スクール内でも有名になった
テニスをする楽しみができ、友達を打ち合える喜びを知った
けど、毎回大会に出ていて優勝が出来るわけがない
そこにはブレが生じる
自分の苦手なプレイヤーに当たれば負けるし
テニス事態の実力が上の人もいる
僕は感情的にテニスが出来ないために周りからは良い風に見られなかった
何時も表情を変えずにつまらなさそうにテニスをしていると思われていた
そんな僕は心の底から楽しんでいたよ
その年の冬、雨の日に自宅でコーチが病死した
秋の終わりから休み続け、冬に入ってすぐに死んでしまった
ショックは大きくなかったが教えてくれる人がいなくなった
自力で覚えたのは回転の掛かったコートに跳ねてから曲がるボール
そこからまた優勝が増えていった
だが、ライジングを覚えた選手には全く効かなかった
だったら次に考えたのは直線と曲線の軌道を描くボール
本当の事を言えばたやすかった、簡単に出来てしまった
そんな僕を見ていたアリィとジルは心の底から喜び
他の生徒達は激しい嫉妬に駆られた
2年になってすぐにテニススクール内で暴力を受けた
夏まで続けば暑さのせいですぐに体が持っていかれた
交差点に掛かり歩道の信号が変わって止まる
長袖長ズボンを着ているため同年代からつけられた傷は見えない
そんな時、熱中症で意識が朦朧としていたトラック運転手
タイミングが悪いのか、運が悪いのか
それとも自分が動けなかったのが悪いの
トラックは減速をする事無く、僕に突っ込んできた
幸い奇跡的に命に別条はなかったが
右腕にビルの分厚いガラスが貫通し大きな傷跡を残した
筋肉も神経もかなりやられており完治するのに時間が掛かると言った
秋には動かせるようになったが大会に出られなかったために
それでも暴力は続いた
僕はそれでもテニスが大好きだから虐めごときで諦めたくなかった
そんな僕を見た彼らは標的を変えた
それがアリィとジルの2人だった
僕が大会に負ければアリィが虐められ
僕が大会に勝てば僕が暴力を受ける事になっていた
僕は、勝ち続けた