第11章 赤
柳側
田中先生は白川の担当医、らしいが
柳「何か重い病気でも持っているのですか?」
田「うーん...、病気は病気でも心の病と行った所かな」
上風「氷月は小学生の時虐められていたんだ」
田「そして精神的なダメージが蓄積されて行き結果が記憶喪失となった。それでも微かに笑っていたよ。感情を表に出したりとかもね」
幸「今では?」
田「見ての通り、抜け殻さ。心はすでに崩れている。自分で再生できない程までにね」
柳生「両親はどう思っているのでしょうか?」
上風「すごく大切にしているよ。自分達が早く気づけばって後悔もしている。だから今は氷月の力になれるように氷月の願いも叶えているよ」
仁「なんでお前さんが知っとるんじゃ?」
田「...さて、俺は次の仕事があるから戻るわ」
コーヒーを一気に飲み干した田中先生は扉に向かった
田「白川は寝ている。解熱剤をうっておいた。暫くすれば熱も下がるだろう。最後に、これは医者としての忠告だ。風邪薬は飲ませるなよ」
最後に意味深な事を残していけば田中先生は帰って行った
上風「...氷月の両親はもういないんだ」
「「!!」」
上風「小さい頃に亡くしたんだって。孤児院にいた所を俺の父さんが引き取ったんだ」
柳生「そんな事が...」
上風「小学校も高学年になるまでは別々の学校に通ってたんだ。自分が虐められているのを知っているから俺に飛び火しないようにって」
幸「優真...」
上風「俺、知らない間に守られてたんだ。だから最後の年に一緒に学校に通おうって、最後の1年だけ一緒の学校に通ったんだ」
柳「それまでは全く別々だったのか」
上風「うん」
仁「それから海外留学で「アリィ」が目の前で死んだ、と」
上風「!、なんでアリィの事を知ってっ!...あ」
急に立ち上がりながら言った優真は
俺達の表情を1つ1つ確認していた
上風「ごめん、なさい...」
小さくなった優真は席に座り直した
上風「俺からアリィさんの事は言えない。氷月から強く言わないで欲しいって」
柳生「わかっています。お疲れさまでした」