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古きパートナー

第11章 赤


白川側

走っていた

高いビルの間の歩道を

冷たい雨が降り注ぐ中、傘なんて持たずにただ走る

向かう先はテニスをしていたビルの屋上

親友の彼女から今にも泣きそうな声で電話が掛かってきた

...寒い

冬の時期であるから夜が異常に冷たい

口からこぼれる息が白く、周りの人達は僕を見る

走る、走る、走る...

彼女の電話をよく聞いていると後ろから大人数の声が聞こえた

横断歩道の赤が待ち遠しい

青になればすぐに走り出す

電話が鳴る、それに出ると

「ごめんね氷月。大好き」

『!』

目的のビルに付いた瞬間に赤い何かが落ちてきた

それは彼女愛用の赤い毛糸で編まれたセーターであり

彼女が大切にしていた服装であった

グシャァ...

すぐ目の前で彼女が地面と激突し

そこから赤い血の水溜りが広がっていく

『な、んで...』

喉から出る声は誰も届かなかった

『アリィ...』

足がもつれ地面に崩れる

目から雨にも似た涙が頬を伝う

『アリィッ!!!』

アメリカ中に聞こえるように叫んだ






『ッ!』

急に覚醒した僕は呼吸困難に襲われた

苦しいのが暫く続けば次第に息が出来るようになった

「「ニャー」」

『クロ、シロ?』

僕の上には子猫が2匹

擦れる視界に映る可愛らしい子猫だ

ドクドクと速い鼓動を落ち着かせ上体を起こし

上に乗っている子猫達を撫でるともっともっととすり寄ってくる

?「氷月...」

『優真』

扉付近に立っていたのは優真だった

『どうして此処に?』

上風「雨、だったから...」

苦しそうに言う優真を見て時計に視線を移す

まだ6時前だ

『こんなに早くから』

上風「母さんに起こして貰ったんだ」

『そうですか』

僕を心配しに朝早くから来てくれたみたいだ

上風「熱、上がってる」

額に触れた来た優真の手が気持ちいい

上風「母さんの弁当あるんだけど、食えるか?」

『食べます。都美子さんの料理は久しぶりですから』

上風「すぐに持ってくるから」

『はい』

優真がリビングに向かうと子猫達は僕にまだまだすり寄ってくる

嫌な夢を見たものだ

トマト恐怖症になるかもな
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