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古きパートナー

第11章 赤


仁王側

住宅街に入ればもう少しでマンションじゃ

「おじいちゃん!トマト採れたー!!」

「そうかそうか、早く入りなさい。雨に濡れてしまうよ」

「はーい!」

白川の足が止まり視線を注ぐと

小さな男の子が庭に植えてあるトマトを籠いっぱいに乗せておった

リビングの窓からは爺さんが見ており雨の事を言って居った

「あ!」

男の子が慌てた様子で振り返ると

1つだけトマトが籠から落ち、地面にぶつかって潰れてしまった

『!』

仁「?」

その光景を見た白川の体が大きく反応した

「トマトはまた採ればいい。落ちてしまったトマトは鳥さんにあげようね」

「うん...」

残念そうに家に入っていく男の子

それをずっと見ておる白川は何処か別におるようじゃ

仁「白川?」

『!、はい、なんでしょうか?』

俺の声に気づき現実世界に戻ってくる白川は

俺の顔を覗いておる

仁「腹減ったナリ」

『わかりました』

何事もなかったかのようにマンションに戻る






仁「うまかったぜよ」

『どういたしまして』

食後のコーヒーを白川から貰い

2人でソファーに座り込む

あの光景を見てから白川は何処かをずっと見ておった

顔色も悪いし、瞳の光も淡いようじゃ

外は雨が降っておった

明日まで続くらしい

雨の日だと眠れんと予想する俺は

隣で一緒にコーヒーを啜る白川が気になって仕方がない

生憎、明日は休みじゃし雨のせいで部活もない

3年生は引退し、幸村が部長を引き継いだ

今の2年生には問題児が多いらしく

2年に部長を任す事が出来ないと言っておった

白川の右手が自身の胸の上に置いた

仁「どうかしたんか?」

『少し息苦しくて』

仁「...大丈夫か?」

額に手を当てれば少し熱いような気がする

仁「今すぐ寝た方がええ。熱があるかもしれんしな」

『そうですか』

仁「風邪薬は何処じゃ?」

『すいませんが、持っていなくて』

動くのも辛そうじゃな

仁「隣から持ってくるき、ちょっと待っとりんしゃい」

『わかりました』






ベットの上で薬を飲ませて眠らせる

『ありがとうございます』

仁「しっかり治すんじゃ」

『わかりました』

俺は自分の部屋に戻った
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