第10章 知らないフリ
『さあ、皆さんの元へ行きましょう』
仁「おう...」
苦しそうな表情をする仁王君は何を考えているのだろうか
それでも皆の元へと戻る
上風「氷月...」
『なんですか?優真』
此処はテニスコートから一番近い川の近くで座り
買ってきた水を皆の空いた水筒に粉と一緒に入れてく
買ってきた水はすぐに温くなってしまうから川の水に浸けている
上風「さっきは、ごめん」
『いいですよ。私が無理をしたのが悪かったので』
上風「手伝うよ」
『ありがとうございます』
昼前になり殆どの人が昼ご飯を買いに行ってしまった
コートには雪村君と柳君がおり
午後の練習メニューを確認している
上風「腕は、大丈夫か?」
『ええ、痛みも収まりましたので』
上風「あれって...」
『マジシャンの技の1つですよ。左でも打てますから』
上風「そっか」
隣に座る優真と一緒に皆の水筒を持ちコートに戻って行く
幸「ああ、悪いね。優真に影夜」
『いえ、これくらいしか出来ないので』
柳「それにしても考えたな。川の水で冷やすとは」
上風「俺もビックリしたぜ」
!、空気が変わった
上風「影夜?」
『...雨が降ります』
幸「え?」
『空気が湿ってきました。恐らく通り雨でしょう』
柳「そんな事までわかるのか」
『今のうちに高架下まで皆さんの荷物を運びましょう』
幸「そうだね」
1人2人分の荷物を持って高架下へと向かう
丸「あれ?何してんだよぃ?」
コンビニから帰ってきた皆が高架下に入ってくる
幸「影夜にこれから通り雨が来ると言われてね」
仁「確かに、向こうの空が真っ暗じゃな」
そう言って後ろを見ると確かに暗かった
それでもわかったのは、自分が雨を嫌っているから
こう言った湿った空気に敏感になってしまっている
上風「氷月、此処は日本だぜ。俺は此処に居るから」
小声で僕に話しかけてきた優真を見れば微笑んでいた
『わかっています』
通り雨は30分くらいで過ぎ去り止んだが
これから本降りになると予報されていたので皆は帰る事にした