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古きパートナー

第10章 知らないフリ


仁王側

朝から夕方になるまで白川と打った

嫌だと言っていた割には俺に付き合ってくれた

途中からアイツの目が変わっておった

最初はやる気がなさそうにしておった

じゃが、途中からポイントを取るたびにアイツの目つきが柔らかくなっておった

何度も打ちあっておると次第にポイントがよく奪われるようになった

アイツは俺が次に何処を狙って打つのか予測して動いておうようじゃ

参謀に似ているかと思ったがそれとは何処が違った

しかも次第にボールに回転がよく掛けられて予想外にコートを貫く

テレビで見た俺の憧れとダブった時も合った

だけどそれとはまた違った影が見えた

アイツはどう見てもかなりの経験者じゃ

じゃなきゃあそこまで動けん

などとシャワーを浴びて考えておったが

俺の部屋で白川を待たせてある事に気づき

急いで上がった

夕方まで打ちあった後

ファーストフード店に入り4人で夕食を済ませて解散

俺は少し話がしてみたいがために無理やり部屋に誘った

仁「待たせたのう」

『いえ』

白川は先にシャワーを済ませてから来ておる

コーヒーを渡しておいてから入った

白川は顔を上に向けて目をぱちぱちさせて居った

仁「どうかしたんか?」

『いえ、少し目が痛かったので目薬をしていただけです』

机の上には目薬が乗っておった

俺はソファーに近寄って白川の顔を覗いた

そうすると白川も俺の顔を覗いてきた

俺はその行為に胸が高まって視線を外した

『何かついていましたか?』

仁「なんでもなか」

『?』

全く、この鈍感が

俺は白川の隣に座った

仁「お前さん、テニス好きなんじゃろ?」

『どうしてですか?』

仁「打っておったらわかる」

『......』

最近は問い詰めると黙って何かを考えている事が多い

『好きだけど、怖い』

仁「?」

『テニスは見るのもやるのも好きです。だけど、やっていると不安や恐怖が来るんです』

白川の顔は曇っておった

仁「不安と恐怖」

小さく繰り返す

俺にはそんな体験がないためわからん

じゃがコイツは何処かで......

じゃからあの時の部長との勝負では震えておったんか

『暴力団は怖くないのに、テニスが怖いって、変ですよね』
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