第8章 サイカイ
その後はずっとフリーダムを打ち返される
どうやら少し甘く見ていたようだ
ゲームウォンバイ越前!3-5
越「まだ、出ないんすか?」
『では、行きましょか?』
僕がサーブを上げる
今となっては少しの時間だけ真上を見れるようになった
前は見る事も不可能であった
『ッ!』
サーブを打つ
越前君は何も気づかないまま向かう
そして
越「嘘!」
ボールは顔面に跳んで行った
15-0
越「あんた、左で」
『はい』
左で持っているラケット
なのにサーブは顔面に飛んだ
そう、ツイストサーブと一緒なのだ
越「面白いじゃん」
『飛び魚です』
越「技の名前?」
『はい、次行きます』
打つと越前君はライジングショットで打ち返す
なかなか
僕は自分の技を使う
『三日月!』
僕の打った球は大きく左に曲がる
越「もらいっ!」
だけど、
越「!」
地面に着くと弧を描くように跳ねる
30-0
『どうしたんですか?』
越「だから三日月」
全く同じフォームから自由自在にボールの軌道を操る
『行きます』
飛び魚は攻略された
そして、僕の手品は始まる
弧を描くような曲がるボールを返す
越「そりゃっ!」
難なく返す
また、曲がるボール
これもとる
そしてストレート
越「マジ!」
40-0
さあ、これが最後だ
僕は最高のサーブを打つ
そう、それは
『光魔』
越前君は身動きが取れなかったらしい
光魔
それは光のような速さと
魔のような恐ろしさが来るサーブだ
げ、ゲームセット!ウォンバイマジシャン!6-3
一応、優勝した
優勝杯を貰った後は多くのメディアが来たが全て撒いた
越「素直に受ければいいじゃん」
『嫌だから逃げているのです』
座ったベンチの後ろから声が
越「あんた、本名は?」
『非公開です』
越「ふーん、どうしても」
『はい』
越「ならいいや」
『何か御用だったのですか?』
越「なんでもない」
本当かな?
越「昔、たまたま出会った人とテニスしてさ。ソイツに似てる」
きっと、2年前の話だ
『そうですか』
越「あんたじゃないの?」
『それは知りません。僕は少なくとも初めてです』
越「ふーん」
僕達は再会してしまったのだ
向こうはわかっていないけどね