第8章 サイカイ
白川側
どうやら本気で僕の部屋で寝ている
悪い訳じゃない
『はぁ』
僕は立ち上がり
戸棚に入っている
薄い毛布を取り出した
夏といえども布団もなしに寝るのは風邪を拗らせるかもしれない
この人は僕と違って選手なんだ
僕はまだ選手ではない
僕は持ってきた毛布を仁王君に掛ける
仁「スー......」
よく寝ているようだ
こうなると僕の寝床はない
と言うか寝る気になれないので
朝まで参考書と睨めっこする事にした
途中飽きたので音楽プレイヤーを持ち出し
イヤホンをして聞く
そしてそのまま参考書とまた睨めっこだ
眠気は全く襲ってこない
物理の参考書は見ていて楽しい
色々な計算式からあらゆるものが数値化が出来るなんて
こういう所は好きだ
でも、計算式をどこでどのように活用をすれば良いのか
まだ、わからない
ここをマスターすれば
真上を見ずに上からのサーブが打てるようになるんじゃないかと考えている
......考えすぎか
時計に目をやるといつの間にか5時半になっていた
外も明るくなっていた
僕は参考書を置き朝食の準備を始める
優真は卵焼きが好きだったな
そう思い卵焼きを作る
味噌汁は?
もう完成済みだ
しかし、2人とも起きないな
まずは、仁王君から起こすか
優真は最初に起こすと何かと騒がしいから
僕は仁王君の前まで来ると
『(あれ?どう起こせばいいのか?)』
優真の場合は朝食の単語を出せば起きる
..................
わからん
優真の起こし方では起きないな
揺らして起こすか
『仁王君、朝です。朝食ができましたので起きてください』
仁「ん?」
仁王君は起きた
意外と素直に起きるものなのか
仁「......朝か」
『はい』
仁「顔を洗ってくるぜよ」
仁王君は顔を洗いに洗面所へ向かう
僕は仁王君の背中を見送り優真の元へと向かう
上風側
3人で飯を食ったあと赤也から電話が来た
仁王先輩の部屋で丸1日勉強会をすと言う
仁王先輩に繋がらなかったようで
僕に電話をしてきたみたいだ
仁「今日もやるんか」
僕たちは渋々仁王先輩の部屋に行く事にした