第8章 サイカイ
白川側
優真のサーブは確かに速くなっていた
それだけではない
以前はサーブが苦手だったのにも関わらず
今では嘘のように正確に入っていた
『確かに、今回は口だけではありませんね』
上風「へへっ」
優真は嬉しそうな顔をしている
上風「言い忘れてたけど」
『1ゲーム先取ですよね?わかっています』
上風「さっすが!」
優真は楽しそうだ
15ー0
次のトスが上がる
僕は体制を低くして
上風「とりゃ!」
ボールが飛んできた
僕は優真のコートに返そうとした
『(!重くなっている!)』
予想よりも重くなっていたボールで手元が狂い
ベースラインを超えてしまった
30-0
上風「こんなにも弱いのかよ!影夜!!」
優真の顔には余裕が見える
もうそろそろ出してもいい頃合いだな
『では、そんな優真君にはプレゼントを差し上げましょう。今回から使っていきますから、よろしくお願いします』
上風「え、マジで」
余裕の笑みは消えて真剣な顔になる
『(そうです。あなたはまだ、そんな余裕な表情をしていては行けませんよ)』
仁王側
プレゼントの言葉で
余裕の笑みを浮かべていた優真の表情は
真剣な表情に変わった
切「何が来るんッスかね」
仁「見てからのお楽しみじゃな」
幸「技まで見えるなんてね」
柳「ああ、実に運がいい」
柳生「楽しみですね」
優真がサーブを打った
影夜は変わりなく打ち返す
打ち返したボールは優真のコートに付くと
上風「げっ!」
優真の顔面めがけて飛んできよった
間一髪で避けた
上風「何するんだよ!」
『今回からこのようなボールが行きますから』
上風「人の話を聞けー!」
30-15
切「今のは」
柳「ツイストの回転だな」
幸「普通のリターンだったよね」
柳生「少なくとも私にはそう見えました」
仁「俺もじゃ」
サーブを打つ
影夜は打ち返す
優真のコートで奇怪に弾んだ
そのボールは今度
ネット際に飛んで行ったのだ
優真は空振りをした
30-30