第8章 サイカイ
仁王側
仁「柳生」
柳生「なんですか?」
俺達はウォーミングアップで打ちあっている
仁「今日の事なんじゃけど」
柳生「本人には内緒にしますよ」
仁「ん」
少しやって体が温まってきた
そこへ
上風「影夜!」
優真が坂の上で座っている奴に向かって叫んだ
気づいたら自分のコートにボールが落ちておった
柳生「よそ見は行けませんね」
仁「プリ」
影夜もコートに入って来た
会うのは2回目だが
口元しか見えん
柳生「久しぶりですね」
『はい、皆さんもお元気そうで』
仁「その言い方だと俺達が来るのを知ってたみたいだな」
『優真がメールで教えてくれました』
送信する相手が少し違ったんじゃなか?
上風「影夜。俺、強くなったから打ちあってよ!」
『そのつもりで来たのですが、皆さんはいいのですか?』
上風「あ、えーっと」
かなり勝負をしたいそうだ
柳生「仁王君」
仁「構わんよ」
『ありがとうございます』
上風「ありがとうございます!」
2人は入れ違いでコートに入って行った
柳生「彼を見るのは2か月ぶりですね」
仁「そうじゃな」
2人はアップに入った
幸「今から試合でもするのかい?」
奥のコートから3人が帰って来た
切「ぜぇぜぇ、よ、容赦が、ないッス」
仁「ずいぶんやられておったのう」
切「そう思うなら助けてくださいッス!」
柳「影夜は左利きなのか」
左利きと聞いて俺は白川の事を思い出した
これは重症じゃな、俺でも気づくぜよ
幸「彼の試合は初めて見るからね。どんな試合をするんだろう」
柳生「優真君はどれだけレベルが上がったかも楽しみですよ」
切「俺が毎週教えているッスから!かなり上手くなってすッスよ!!」
赤也が自慢げに言う
確かに打ちあっているのを見ると
ボールにブレが少なく、打ちたい所に打ち返しているようだ
柳「前衛も教えたのか?」
切「まあ、少しだけッス」
そう言うとアップが終わった
『サーブは差し上げます』
上風「言うと思ったぜ!」
2人は定位置に付いた
優真がトスを上げた
そして
影夜の横に鋭く入って行った
仁「ほう」
柳生「これは」
影夜は打ち返さなかった