第7章 連続の厄日
いつもマネージャーの仕事で走り回っているが
今日はなんだかいつもより観客が多い
目的は僕
そんなのわかっている
いつもならフェンスびっちりに女子の黄色い声が聞こえる
今日は男子もかなり混ざっているようだ
見せもんじゃないぞ
幸「頑張ってね」
僕は幸村君からラケットを借りた
柳「大体わかるな」
『大丈夫です』
僕は振り返りコートに入ろうとした時
誰かに肩を掴まれた
そして
仁「怖いんなら逃げてもよか」
僕の耳元で仁王君が言う
僕は震えていた
自分でもわかる
『決めた事を曲げては、相手に失礼ですから』
仁「......無理はしなさんなよ」
『わかりました』
僕はコートに立った
部長「サーブはそっちにあげるよ」
『いえ、打ってください。きっとサーブは当たらないので』
部長「そうかい、ならいいかな?」
『いつでも、構いません』
部長「じゃあ!」
そう言うと高くトスが上がった
僕は腰を屈めて目を細める
部長「ていっ!!」
サーブが来た
でも、このサーブは僕にとって
遅い
仁王側
部長のサーブは遅い
じゃけど、初心者モドキの白川は難なく返した
柳「しっかりと打ち返しているな」
幸「もう、初心者なんて言えないし、言わせない」
真「なかなかの球だな」
三強もかなりの評価をしておる
ラリーは続く
そして白川のミスで絶好のロブが上がった
部長「貰った!!」
そして、部長はスマッシュを打った
そして......!
ボールは落ちていた
部長のコート上に
しかも、スピンしてその場で回っとる
部長「何を......」
『今日は僕、帰ります。明日の準備があるので』
そう言い残すと部長に一礼し
俺達の所に戻って来た
『ラケットありがとうございます』
幸「ああ、いいよ」
白川は何も言わずにその場を去って行った
俺はそんな背中から少しの殺気と寂しさを感じた
仁「幸村」
幸「ああ、行っておいで」
俺は白川の後を追いかけた
正門近くで白川を見つけた
仁「白川!」
俺が叫んでも振り向かない
仁「白川!!」
俺は肩を掴んで無理やり振り向かせた
白川は下を向いている