第2章 全ての始まり
少女はそれを手に取り、軽く太陽に掲げてみる。
水色の宝石は日の光で綺麗に輝き、周りの金の枠がそれを更に美しく際立たせていた。
少女は名前が書いていないか確かめるため、ペンダントの裏などを確認する。
そして、彼女は金色の枠の下部に小さく何かが刻まれているのを見つけた。
「田中……秀一さん?」
少女は目を細め刻まれてた文字を口にする。
深く削られた文字は、褪(あ)せてぼやけていたがなんとか読み取る。
見た目からして、高価なものだとすぐに分かるだろう。
ベンチに置いておけば誰かに盗まれる危険性がある。
少女はベンチから降りて公園を出ると近くの交番へ向かった。
十字路を抜け、しばらくして交番につく。
中では若い男が椅子に座って熱心に書類仕事をしていた。
「あの……」
「あ、はいっ。どうかしましたか?」
「いえ、落とし物を届けに……」
少女は扉をノックし、中に入ると遠慮気味に声をかけた。
男は紙から少女へ目を移し、椅子を降りて彼女に近寄る。
「ああ……わざわざありがとうございます。こちらで預からせてもらいますね」
男は差し出されたペンダントを見てそういう。
彼はそれを受けとると、机から紙を出して少女に渡した。
「落とし主が見つかったときのために、名前と連絡先を書いて頂けますか?」
「あ、はい。分かりました」
少女は紙に必要事項を書き、男に返した。
彼はそれを確認し、棚に並べられていたファイルに挟む。
「では落とし主が見つかったときにまた連絡があるかと思いますので、その時はよろしくお願いします」
「はい、それでは」
少女が交番からでると、外はもう茜色に染まっており日が沈みかけていた。
彼女はそれを見て時計を確認し、慌てて家に帰った。