第2章 全ての始まり
第一話「落とし物」
夏の熱い日差しが地面に降り注ぎ、どこかにいる蝉(せみ)が騒々しく啼く。
歩く人のほとんどが汗をかいており、日傘を差す女性や木陰で休む者もいる。
「あっついなー……」
そんな中、少女は水で濡らし冷えたタオルを首に巻きながら日陰の下を歩いていた。
彼女はシャツの袖を捲り額の汗を拭うと、すぐ近くにあった公園の中に入る。
公園には木が沢山あり、大きな木の下にできた木陰には老人や子供たちが昼寝をしていた。
中央には噴水があり、何人かの子供が靴を脱いで水遊びをしていた。
少女は空いているベンチに座り、木陰の方に寄る。
しかし、手元に何かが当たる感触がして彼女はそこに目を移した。
そこには──金色の枠に水色の宝石の付いたペンダントがあった。