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日常に染まる非日常【デュラララ】

第3章 「動き出す歯車」


 “影”が背中に手を回したかと思うと、次の瞬間には“その黒い身体の一部が膨れ上がった”。
それはまるで、“影”から噴出した墨色の煙が、意思を持って蠢(うごめ)いているようだった。
黒い“影”の黒い手袋の中で、やはり黒い塊が蛇のようにのたうち回っている。
空気中に黒い“流れ”が不気味な鮮やかさを演出し、夜の景色を更に黒く染める。
やがてその動きが収束し──意味のある漆黒の“何か”を造り上げようとする。
その様子を見ていた誰もが、街灯と立体駐車場の灯りの中で、いよいよ相手が人間ではないと言うことに気づいてしまった。
「…………」
後ろからそれを見ている少女は、今まさに目の前で起こっている非現実てきな出来事に目を見開き唾を飲み込む。
 “影”の身体から黒い塊が分離する瞬間、その身体から黒い水蒸気のようなものが立ち込める。
“影”のその動きをみる者たちの目には、ヘルメット以外の部分は灯りの中で滲むようにぼやけて見えライダースーツが溶け出してしまっているように錯覚させる。
男たちは目の前で起こっているものに混乱し、リーダー格の男は絶望的な顔をしながらも一瞬の溜めを挟んで、そのまま“影”の腹部めがけてナイフを突き出した。
しかし──その刃は“影”の身体には届かず、彼のナイフを握る腕に鈍い衝撃が走った。
取り落としはしなかったものの、リーダー格の男は体勢が揺らいで決定的な隙を作ってしまう。
「っ……!?」
ナイフの刃にぶつかったそれは黒く鋭く、その身を闇の中おぼろげな姿で現れた。
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