第1章 ずっと待つ・・・いつまでも【アリババ】
「じゃあ、故郷で元気にやれよ!」
そう言って立ち去ろうとしたんだ・・・
この体の芯が熱くなるのを無視して・・・
すると、彼女は上目使いで俺を見上げてきた
「私も、霧の団にいちゃダメですか?」
「だ、だめだ!」
霧の団は、一応盗賊
それを忘れちゃいけない・・・
しかも、何で急に・・・
「好き、だからです」
「え・・・」
彼女は、必死に俺に訴えようとした
でも、その涙目になった顔を見たくなくて、彼女を独占したくてー
「んっ」
彼女の甘い呻きが聞こえた
「なんで、そんなこと言うんだよ・・・」
彼女には、帰るべき家があるはずなのに・・・
彼女の無事を祈っている家族がいるはずなのに・・・
まだ名前すらも知らない俺なんかが欲しがっちゃいけないはずなのに・・・
彼女の全てが
俺を誘う
「あ、アリババさんっ!?///」
俺は彼女をベッドに押し倒し、耳元で囁く
「・・・名前」
「んぅっ・・・え?」
耳、弱いのか・・・
ほんの少し笑いながら、今度は顔の真ん前で言う
「お前の名前は?」
「っあ、エイン!エインですっ!!」
「そっか・・・なあ、エイン?」
「はい・・・?」
彼女の瞳は、緊張のせいか潤んできて、俺に余計に欲情させる
「俺も、好きみたいだ。お前のこと」
「っ!!!」
彼女は目を見開き、嬉しそうに笑った
「ありがとうっ!!」
「俺はさ、こんなことのためにお前をこの部屋に寝かせた訳じゃないぞ!」
「へ?」
本当は、なにもせず帰すつもりだったのに・・・
「今晩は、俺と一緒に寝てください!!」
迷いを吹っ切るためにも、今は今回だけだ!!
「わかった!!」