第1章 ずっと待つ・・・いつまでも【アリババ】
回想シーン
「あれは・・・」
いくつかの大きな積み荷を乗せた馬車が、目の前を通りすぎる
そのとき、アリババは微かに聞こえた小さな鳴き声を聞き逃さなかった
「奴隷商人か・・・!!」
食物と課して、人を乗せるのは少なからずある
「アモン!!」
『ギャァアアアアアアッッ』
酒臭いおっさん等を蹴散らし、積み荷にかけられた布をあげる
「ひっ」
中に、あの奴隷商人らが確かめに来たのかと思ったのか、一人の女の子が怯えて声をあげる
「大丈夫か?」
中全体を見渡すと、一人、とても呆けた顔をしているのに、アラジンのようにすんだ瞳をした女の子を見つけた
見入ったのは、そのせいだろう
「誰?」
少女は、掠れた声で俺に聞いた
水を飲んでいないのか、ちょっと細い・・・でも喋れるだけの元気はある
「俺の名はアリババ・サルージャだ。お前ら、ひどい怪我はしてねぇか?」
彼女は、俺を味方と認識したのか、安心したように瞼を閉じて倒れ込むー
「っぶねっ!」
ギリギリのところで支えたが、ちょっと手がジンジンした
「よし!お前らー」
アリババは辺りの子供を見渡した
「もうちょっとしたら、家に帰れるぞ!」