第1章 ずっと待つ・・・いつまでも【アリババ】
・・・しばらく時間が経った
「・・・すまねぇ・・・女の子にこんなことしてもらうようじゃ、またカシムにヘタレって言われちゃうな・・・」
「カシム?」
聞き覚えの無い名前に首をかしげる
「っ・・・え~っと、俺の親友。家族だ」
「おお~」
恐らく血はつながっていないのだろう
だけど、嬉しそうに家族と言うアリババのはにかんだ笑顔に、私の胸は、押し潰されそうなくらい苦しくなる
この感情は知っている・・・
「じゃあ、お前も故郷で元気にやれよ!」
そう言って立ち上がり、去りかけたアリババの服を反射的に掴んでしまう
「ど、どし、た・・・?」
アリババが戸惑ったように私を見る
「え、えと・・・」
気持ちの正体が分かったからには、離れてしまう前に伝えたい・・・
でも、会ったばかりだし、そういうのはやっぱりおこでがましい、かな・・・
「私も、霧の団にいちゃダメですか?」
オーケーしてもらえるように、できるだけ可愛く、上目遣いをする
「だ、だめだ!」
アリババは、急な申し出に対し、慌てつつもきっぱりと断る
「だいたい、何でそんなこと・・・」
私には、帰る家がある
大事な家族もいる
今できたこの関係も壊したくは、ない・・・けど!!
「っ・・・好き、だからです」
「えっ・・・」
アリババは驚きで目を見開く
「こんな短時間でも、私はアリババさんを好きになってしまったんです!!!一緒に居たいんです!!だからーんっ」
私の必死な訴えは、彼の唇によって塞がれていた
「アリ、ババさん・・・?」
「わりぃ・・・」
そう言った彼の顔は、それはもう、本当に真っ赤で・・・
「なんで、そんなこと言うんだよ・・・」
「え・・・」
うつむきざまに彼が低く言った言葉に、私は少なからずショックを受けた