第1章 ずっと待つ・・・いつまでも【アリババ】
・・・体が重い・・・
怠くて目が開けづらい・・・
私は・・・どうしてるの・・・?
私はゆっくりと瞼を開いた
目の前に広がったのは、今まで見えていた暗い木の天井ではなく、部屋に差し込む陽光だった
「よっ!起きたか!」
「わっ!!」
そして、すぐ近くには、私達奴隷になりかけていた人を助けてくれた、金髪の人だった
よく見ると、頭の天辺に癖っ毛なのか、角みたいになっている髪の毛がある
「疲れてんだろ?回復したら、俺たちが故郷まで送ってってやるよ」
「俺たち・・・?」
「ああ。霧の団っていうグループだ」
よく分からないけど、団体で戦って、勝ったから私たちは助かったんだ・・・?
「じゃあ、その人達にも言わなきゃですけど、助けていただきありがとうございました」
私は布団らしきものに上半身を起こし、できる限り深々とお辞儀をした
「ん?助けて・・・あぁ!あの臭いおっさん達を倒したのは、この俺だぜ!」
「え・・・お一人ですか・・・?」
「ああ・・・すげぇだろ?」
凄いとは思いつつも、彼のその笑っている顔の中にある、ほんの少しの悲しみが伝わってきて、胸が少しピリッとした
「無理してる?」
「え?」
私が思わず手を彼の頬に添えた
彼は驚いた表情をしたが、すぐに諦めたように目を閉じて笑った
「やっぱお前、俺の知ってる奴に似てるな・・・何でも見透かしちまう」
「え・・・」
彼は私の手をそっとはずしたかと思うと、私を抱き締めた
「え、ちょ、アリババ、さん・・・?」
「名前覚えててくれたんだ・・・ちょっとごめん・・・しばらくこうさせてくれないか?」
消え入りそうな声で耳元で言われたら、断る人なんて・・・
「いいですよ」
「っ!!」
私も彼を抱き締め返した
「ありがとう」