第1章 ずっと待つ・・・いつまでも【アリババ】
私は、奴隷として売られるのだろうか・・・
村で幸せに暮らしていたはずなのに、数人の友達と一緒に厳つい男達に掴まれて乱暴されて、今は縛られて体中が痛い・・・
皆も、生きる気力を失ったかのように暗い表情をし、お母さんと嘆く子もいる・・・
・・・私は、涙がでない
いきなり過ぎて、頭が状況についてこれてないのか、なにも感じない
『ガタガタガタッッ』
「なに!?」
「いでっ」
『うわぁあああっっ!!!』
外から叫び声が聞こえてくる
なんなの?
『ぁぁ・・・』
叫び声が止んだ
『ガラッ』
「ひっ」
女の子が、誘拐犯が覗きに来たと思ったのか、身を強ばらせる
「大丈夫か・・・?」
でも、違った・・・
荷物置き場を覗きに来たのは、気持ち悪い男ではなく、華奢な感じのする金髪の青年だった
「誰・・・?」
掠れる声を振り絞って、私は問うた
彼は、フッと柔らかな笑みを見せて、答えてくれたー
「俺の名はアリババ・サルージャだ。お前ら、怪我はひどくねぇか?」
この人は助けてくれたんだ・・・
見ず知らずの私たちを・・・
「っあ・・・」
彼の見開いた瞳を最後に、私は瞼を閉じて意識を手放した