第46章 “計画された犠牲”
「クロックアップって、まさか公子さん――」
ヨンスの言葉に続いたのは、エドだ。
さすがはデジタル先進国、私の意図に気づいたらしい。
「ライヴィス、ヨンスの出血量とエドのソースコード喪失量、そちらで解析できますよね?」
『……っ』
「時間がありません。大丈夫です、異世界人の私を信じてください」
『ぼ、僕は……僕は……』
「ライヴィス! これが正解だって、
・ ・・・・・・・
私、知ってるんです!」
叫ぶ。
同時に、目の前の中空にフォン、とウィンドウが現れた。
『っ!? このコマンドは……!』
処理能力が足らない?
なら演算装置を増やせばいい。
・・ ・・・・・・・・・・
私を、演算装置にすればいい。
しかも、とっておきにクロックアップした上で。
――私は理解した。
今回のトリップでもやはり、どこにたどり着くにしても、私にはなにかしら意味と役割が用意されている。
迷わず、中空に浮かぶウィンドウに手を伸ばす。
その手が、ぱっと掴まれる。
不安と怖れに沈むヨンスの瞳。
言葉を使うまでもなく、私を止めようとしていた。
少しだけ冷えたその手を、そっともう片方の手で包み込む。
いくらか痩せて骨ばっているような気がして、作った笑顔が崩れそうになる。
「見込みのない自己犠牲なんかじゃないですよ。ちゃんと、“みんな”で戻ります」
「……っ」
ヨンスの眉が歪んで、その手から力が抜ける。
名残惜しそうに、優しい手が離れた。
もう一度、ウィンドウに手を伸ばす。
そしてそのまま薄青い光でできたディスプレイに、手のひらを沈めた。