第46章 “計画された犠牲”
「“同期”した私を演算装置にしてクロックアップ、できますよね」
『……っ!』
自分が呼びかけられていると、名前を言われずとも気づいたらしい。
ライヴィスが息をのむのが聞こえた。
「やってください、今」
『だっだめですよ、公子さんにどんな負担がかかるか――!』
「私は誰一人欠けさせたくないんです。でもこのままじゃ最悪誰も帰れなくなります」
『……でも……っ』
「これは私にしかできない、私がやるべきことなんです! お願いします!」
コンピューターの処理能力を上げるために、クロック周波数を定格以上に上げる――
コンピューターの改造で、そういう手段を聞いたことがある。
平たく言えば、リミッター解除、みたいなことだ。
もちろん、故障などのリスクはある。
この“double edged sword program”は、なぜだか私の記憶を基に構築されている。
プログラムの実行コマンドであり、“同期”している私になら、クロックアップなんていう改造だってできるはず。
私の中に、そんな根拠のない、けれどデジャヴと似たような“確信”がうまれた。
そうすれば、ここに元々あった、ヨンスが操作しているパソコンの処理能力も上がり、パスワードを見つけ出せる――
その推測が正解であることを、ライヴィスの苦しそうな沈黙が教えてくれた。
「待ってくれなんだぜ、なんの話をしてるんだぜ?」