第46章 “計画された犠牲”
瞬間。
ズキン、と頭に鋭利な痛みが突き刺さる。
続いて、ぶわっと湧き上がるような熱。
機械が、その能力以上の負荷を受けて熱くなるときは、きっとこんなかんじなんだろう。
でも大丈夫。
こんな体調不良じみたもの、もう何度だってくぐりぬけてきた……!
音もなく、視界が眩しくなる。
視線だけを上げて、目をみはる。
目の前に、バルトの地下室で見た、あるいはARDOで見た、両手の指の数では足りないほどのディスプレイが現れていた。
ブルースクリーンに、滝のごとく画面下に流れる大量の白文字。
「これは……!」
そこへヨンスが飛びつく。
慣れた手つきで高速タイピングを始めると、ハッと我に返ったエドもそれに続く。
「もうなにが起きても驚かないと思っていましたが……ありえない……スパコンなんてレベルじゃないですよ!!」
ヨンスもエドも、一心不乱にパスワード解析に指を走らせていた。
頭がガンガンする。
体が熱くて熱くてたまらない。
思考がぼやけて、意識がもうろうとしてくる。
神経がすべて焼き切れてしまいそうだ。
諸刃の剣。
処理能力を限界まで上げる代償は、こんなにも高いらしい。
だから、気づけるわけがなかった。
「公子さんっ!」
茶髪が揺れる。
優しい香りがしたかと思ったら、茶色は青白い文字列に変わった。
視界を埋め尽くす光の奔流は、デジャヴだ。
さっき、エドが香くんに斬られたときの光景と同じ――
「トーリス……?」