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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第42章 諸刃の刃の切っ先で 





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

満腹感によるものか、疲労感によるものか。

おそらくその両方だったろうが、私はすっかりひと眠りしてしまっていた。

知らないうちに客間のベッドに寝ていた始末である。

多分、自分の足でベッドに寝転んだ気がする……けど……。

まさか、ここまで運んでもらうような迷惑をかけていないだろうか。

心配になり、私は体を起こした。

まだ寝ぼけ眼だったが、こそこそと人の話し声がすることに気づく。





「こんなファイル、僕も今知りましたよ」

「ライヴィスが最後にさわったのは、えっと、2時間くらい前か」

「でも、急にダウンロードされたんじゃないんです。最初のファイルに入っていたようなんですが、設定時刻になると自動解凍されるようになってたみたいで」

「隠しファイルか……やっぱり公子ちゃんと関係が……?」




ライヴィスとトーリスの声だった。

声のトーンは抑えめだが、両者ともに困惑が滲んでいる。

穏やかではない雰囲気だった。

「エドはなんて?」

「公子さんを起こしてきてほしいと……」

声がゆっくりと近づいてくる。

私がいる部屋に向かっているらしい。

今さら寝たフリもできず、私は扉を開けた二人とちょうど目があった。

「あっ……」

「お、おはようございます……」

盗み聞きするつもりはなかったのだが、結果的にちょっとそうなってしまった。

そんな気まずさもあって、苦笑いのような変な笑顔で出迎えてしまう。

「お疲れのところすみません」

「い、いえいえ! 居眠りしてしまってすみません! 私を呼びに来たとか?」

トーリスが頷く。

ライヴィスはどことなく不安げな面持ちだった。

そういえば、今は何時なのだろう。

地下というのは時間感覚を奪う。

窓がひとつも見当たらないって、こんなに窮屈で、ちょっと怖いんだ……。
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