第41章 暗鬼による確信による、
芯が抜けて力が入らない足を無理矢理動かすが、爪先が浮くだけだった。
それでも体の重心が変化するには十分で、うしろに倒れこむ勢いのまま、体を捻って走り出す。
「追いかけっこかな?」
「行かせません」
背後でまた金属音が上がる。
逃げるって言ったってどこに行けば――?
なにも考えられないまま走り出していた。
ひたすら足を動かすことだけが脳を占めていた。
視界を瞬く間に通りすぎていくだけの風景に、ふと気づく。
“ゴーストタウン”から戻ってきてる……!
けれど、自分がどこにいるのか全くわからなかった。
おそらく、ヨーロッパのどこか。
都市部ではなく郊外。
緑は多いが建物はまばらで、人の往来はごく少なかった。
道路や町並みにはなんの特徴もない。
標識や看板を探してキョロキョロするが、それらしき表示物も見当たらなかった。
今どこにいるのか?
これからどこへ行けばいいのか、行くべきなのか。
何もわからず途方に暮れる。
「ここどこ……?」
「公子さん!」
そのとき、救世主が現れた。
振り返ると、それは意外な人物だった。