• テキストサイズ

【ヘタリア】周波数0325【APH】

第39章 錯綜と進む針と


声とバァン! という音は同時だった。

返事をする間もなく、扉からアーサーが姿を現していた。

「な、なんだい突然!」

「あっ、お前ここで居眠りしたのか!? ほっぺたに跡がついてんぞ」

「えっ本当かい?」

「ったくいつまでたってもガキだな。ガキは目のクマなんか作らず寝ろっつーの」

やれやれと大げさに肩をすくめるアーサーに、カチンとくる。

「う、うるさいんだぞ! だいたい君が大量の書類を持ってくるせいもあ――」

「あーうるせえうるせえ。要件は一つだ。“消失”が起こる」

「っ!」

簡潔に言い渡され、アルフレッドは息をのんだ。

“消失”の予測は、おそらく今最も取り組まれている課題のひとつだ。

精度はよくないばかりか、科学的根拠に乏しいものを根拠にしている予測もある。

しかし、アーサーの真剣な瞳は、それ以上のことを物語っていた。

「……彼女が……?」

囁くように問うと、アーサーは小さく頷いた。

「わからないが、おそらくな。前、公子が来たときの数値のデータあったろ? 僅かだが、それと似たような数値の動きが見られる」

「ほ、本当かい!」

「まだ確信はできないけどな」

目の前にちらついた希望に、朝日がもっと眩しく感じられる。

ベッドで眠れなかった疲労を追いやり、アルフレッドは外出の支度をし始めた。






「……どうして黙ってる」
/ 465ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp