第1章 突然な出会い
私は呼んだことないし、今後もない。
「そういえば、王子と同じクラスになったんだって?やったじゃん!」
「…ちっとも良くないです。」
どうしようもなく気が重たくて、自然と地を這うような低い声がでた。
何しろ高橋陸は、半年も続く私の悩みなのだ。
確かにわたしはラブスのファンだし、彼の歌声も好きだ。
だからって、別に近づきたいなんて思ったことはない。断じてない。
遠巻きに見てるだけで充分だったのに、なぜか去年の文化祭以来、
追いかけ回されている。
王子様扱いの彼に必要以上に構われることで、平穏な日々はあっけなく崩れ去った。
あのチャラ男…
ささやかだけど穏やかな私の日常を返せ!
「なるほど、恥ずかしがり屋のには、王子の猛アピールは荷が重いか」
「…なんの話ですか?」