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えっくすでーへのかうんとだうん

第4章 かうんと・ぜろ



朝までぐっすりの予定で布団に潜り込んだもののやはり寝るのが早すぎてしまったらしい。
手近にあったスマホで時間を確認したところ、現在12月25日の0時16分。
日が上るのはまだまだ先。むしろ夜が深まっていく一方な時間に目が覚めてしまった。そして寝てるうちにようこそメリークリスマス。
こんなことならもう少し遅くに寝るんだったな、と後悔しても後の祭りで。
完全に頭が冴えてしまったこの状態では睡魔に襲われることも中々ないだろう。
寝るに寝れず、かといって今更こんな時間に何かをしようとも思えず、結局再び寝転がった。勿論ずれた掛け布団も直しておく。

それから幾ばくもしないうちに冷えた布団がまたぬくぬくにあたたまってきた。
その温もりに包まれながら思い出すのは、先ほどの、夢。
普段ならば夢なんて目覚めた瞬間にほぼ忘れて、楽しかったとか悲しかったとかそんな雰囲気を何となく覚えている程度なのに。
感触も温度もない、あの夢は、しっかり記憶として焼き付いていた。

大好きな声。ノイズの走った姿。
抱き締める腕に、慈しむ手。
嬉しさと、悲しさと、満たされない心。
求めて。諦めて。泣いて。そして。

「寂しい、か……」

何よりも強く鳴り響いていた感情。
夢から覚めた今でもなお、根を張ったように心のうちに息づくのは、紛れもない私の本心だからだろうか。
音也を困らせたくないし、次の日には会えるのだから大丈夫だと、寂しがる必要もないと、そう自分に言い聞かせていたものの。
夢に見てしまうほど、夢の中でも焦がれてしまうほど、思った以上に私はとても寂しがっているらしい。

苦笑がもれる。

別に未来永劫会えないわけでもないのに。
こんなに寂しいと思ってしまうのは、クリスマスを幸せそうに過ごすまわりの雰囲気にあてられてしまったせいなのか。

寂しいと、改めてそう自覚してしまうとなんだか心にぽっかりと穴が空いた気分になった。
何もないのに、寂しさで埋まってる。
なんだか、涙が出そうになった。


――その時だった。



静寂が満ちる部屋に、電話の着信音が鳴り響いた。

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