第4章 秘密の暴露は、悪友で。
修の頭の中で、すべてのパズルのピースが音を立てて繋がっていくのが分かった。
中学時代、サッカー部の中でもひときわ小さく、マスコットとして可愛がられていた俺。その俺が、卒業式の日に、自分の学ランのボタンを全部ちぎって茶封筒に詰めた。
修たちは、ボタンのない無様な制服の俺を見て、ゲラゲラと笑った。
『無理強いして渡したって、どうせ捨てられるに決まってんだろ!』と、みんなで俺をからかったんだ。
俺自身も、捨てられてもいいと思って渡していた。
ただ、彼女に自分のボタンを渡すという行為をして、何かを共有したかっただけの、無謀で不器用な、あがき。
今、目の前にいるキョーちゃん。
そして彼女の横にあるローテーブルの上には、あの時俺が「少し邪魔なところが俺みたい」と言って無理やり彼女の鞄につけた、色褪せたキーホルダーのついた鍵が置かれている。
「嘘だろ。あいつ、あの時『どうせ捨てられる』って俺らが笑ってたボタンの? 本当に? あのボタン後輩! ボタン藤崎後輩!?」
あまりの衝撃に、修の語彙力が崩壊していく。
だが、修の爆弾投下はそれだけでは終わらなかった。
「藤崎キョーよ!
聞け、こいつ大学の時も、社会人になってからも、エグいぐらい女遊びしてたからね!? こいつと飲むってなれば絶対女の子ついて来るし、合コンの打率も異常。ちょっと落ちてたから、みたいな感じにお持ち帰り繰り返してたからね? まあ、どんなに遊んでも自分のマンションにだけは頑なに誰も呼ばない、変なポリシーは持ってたけど」
「ちょ、修、マジでやめろ!!」
俺は本気で修の口を塞ごうとした。
でも、キョーちゃんは本から視線を上げることなく、ふっと口角を上げたんだ。
「知っていますよ。大学時代も、社会人になってからも、随分と華やかな生活を送っていらしたことは。風の噂でも、SNSの匂わせでも、いくらでも入ってきましたから」
「「えっ」」
今度は、俺と修の声が完璧にハモった。
修は目を丸くし、俺は完全にフリーズした。