第4章 秘密の暴露は、悪友で。
しつこく連打されるインターホンに観念して立ち上がり、ディスプレイを覗く。その瞬間、嫌な予感で背中が跳ねた。
「……げっ、修(しゅう)だ」
「どなたですか」
「中学のときの部活の。よりによって一番うるさいやつ……」
ヤツが来るのに心当たりはあった。
とあるグループラインの未読が50を超えた頃から、その数字を確認することすら放棄していたからだ。
無言で共用玄関のロックを解除すると、修もまた無言で片手だけ上げてエレベーターホールに進んでいくのをカメラが映していた。
しばらくすると、案の定、今度は部屋のインターホンが連打される。
舌打ち混じりにドアを開けた瞬間、チェーンの隙間を押し広げるような勢いで、やけに響く男の声が玄関からリビングへと突き抜けた。
「おーいイツキ! 生きてるか! お前がグループラインの誘い全シカトするから、生存確認に来てやったぞ!」
「勝手に来るなよ、インターホン連打すんな、壊れるだろ」
「寝てると思ったんだよ。……お、誰か来てんの? ちっせー靴。なんだよ、もしかして……」
どかどかと遠慮のない足音。
「おい、待て修、入るなって!」
俺の制止も聞かず、リビングのドアが勢いよく開かれた。
修は部屋に入るなり、ソファの前にちょこんと座っているキョーちゃんの姿を捉え、その目を限界まで見開いた。
「うわっ、マジかよ!
お前、自分のマンションに女連れ込んでんの!?
あの、来る者拒まず去る者追わずの、冷徹サイコパス遊び人の丹羽イツキが!?」
「誰がサイコパスだ。あと『連れ込んでる』って言い方やめろ、人聞きが悪い」
「いやいや、だってイツキだぞ?
女子をボコボコ泣かせるようになったあのお前が、特定の女を部屋に入れて大人しく読書!? 天変地異かよ!?」