第1章 とおせんぼう。
それから、私は頑張って仕事を早く終わらせた。
うん、今考えれば
うまくいかない恋を人のせいにしちゃ
ダメだよね。
頑張らなくちゃ。
「おまたせ、ゆりこ。
什造がまだだから少し待っててくれないか?」
「お疲れ様です亜門さん!
はいっ!わかりました!」
それから待つ間、亜門さんと二人で
昨日のテレビの話をした。
でも楽しい時間はあっという間で…。
「お待たせです亜門サン、ゆりこ!」
「大丈夫!鈴屋くんお疲れ様!」
~~
なんやかんやで新作ドーナツ購入。
予想通り、亜門さんとはあまり
話ができなかった…。
でも!!明日こそは!!!
とか考えてたらもう亜門さんと
別れる道についていた。
「じゃ、また明日。」
「はいっ!今日もお疲れ様でした!」
精一杯の笑顔。
帰っていく亜門さんの方をずっと見つめてる私に
鈴屋くんが話しかけてきた。
「ゆりこって、亜門さんの事
好きなんですか?」
体がびくっと反応した。
ぐぬぬ…いきなりすぎる。
でも私の素直な気持ちに嘘はつきたくない。
「そうだよ。叶わないとは分かってるんだけど…。」
ため息まじりに返事した。
鈴屋くんは黙ったまま私を見てる。
私は鈴屋くんが次の言葉を話すまで
その場から一歩も動けなかった。