第1章 とおせんぼう。
「…やっぱりです。」
「やっぱりって?」
もしかして鈴屋くんは
私の気持ちを知ってたのかな…
「ゆりこは分かりやすいから
気づいてました~。」
「!?」
私ってそんなに分かりやすいかな…
「亜門さんは諦めてください」
「どうして!?」
なんで鈴屋くんがそんなこと言うの?
私の勝手じゃない!!
「僕が…ゆりこの事好きだからです」
「え?」
「え? じゃないです!」
ほっぺ膨らまして
大袈裟に怒ったフリをする鈴屋くん。
う…可愛い。。
「だっ…ダメだよ…」
「どうしてダメなんです?
僕だって人を好きになるです。」
…そうかもしれないけど。
「ごめんなさい…。私は亜門さんが好…」
「知ってます!!だから振り向いてくれるように頑張ります」
見たことのない鈴屋くんの真剣な顔。
本気みたい…。
「わっ…分かった…。
じゃっじゃあ!また明日!!」
私はその場の雰囲気に耐えられなくなって
走って帰った。
「ほんとにわかりやすいです。」