第4章 すいぞくかん。
「じゅ…什造くん…」
勇気を出して呼んだ。
うん、頑張ったよ私!
男の子なんて名前で読んだこと
ないんだから!!
ふと什造くんを見ると、予想外の反応。
「…什造くん?」
什造くんのお顔が真っ赤です。
「思ってたより嬉しいです…」
什造くんもこんな顔するんだ
「呼んだよ!
クリオネさんのところ行くよ」
今度は私から什造くんの手をとって
歩き出した。
しっかり握り返してきてくれる
什造くん
20区に来た頃はこんな関係になるなんて思ってもみなかったけど、
いつの間にか什造くんが隣にいるのが当たり前になって。
今は私の一番大切な人
「ゆりこ~」
「なあに?」
名前を呼ばれて振り返ると
これでもかってくらい笑顔の什造が
「大好きです」
「っ!」
「照れてますね~」
「さっきまで什造くんも照れてたじゃないっ!」
什造くんはさらに強く手を握って
「おあいこですね」
「…そうですねっ」
それから仲良く手をつないで
クリオネさんのところに行きました。