第3章 すこしちがう。
少し濡れた髪と服を
ハンカチで拭いてると鈴屋くんが。
「どうしたです?ゆりこ」
「あ…、鈴屋くん。
ちょっと雨に濡れちゃって」
「風邪ひいちゃダメですよ~」
ニコニコしながら言われた。
まさか鈴屋くんからその台詞を聞くなんて…
「あは、ありがとう!
人の事言ってる場合じゃないよね!」
「てゆーか、僕見たですけど…」
「ん?」
「ゆりこと亜門さんが
相合傘して歩いてるとこ」
「あれは私の傘が壊れちゃって…」
「ふ~ん…」
不機嫌そうな表情の鈴屋くん。
どうしたの?
って聞きたいけど…
お仕事しなくちゃ。
「じゃ、仕事に戻るね」
「僕はゆりこともっと
ラブラブしたいんです~!!」
突然大声で叫んだ鈴屋くんを
廊下を歩いていた人たちが全員振り向く。
「ひええぇっ!?
鈴屋くん!!!この続きはお仕事終わってから!!」
私はその場から一気に走って逃げた