第3章 すこしちがう。
鈴屋くんの手から逃れた私は
急いで亜門さんのところに走っていった。
「亜門さっん!!すみません!!」
「ゆりこやっと来たか。
什造は大丈夫だったか?」
「はいっ!なんとか…」
鈴屋くんに気を取られて
お仕事放り出しちゃうなんて…
気をつけなきゃ…。
「さあ、捜査に出かけるぞ」
「はいっ!!」
大雨が邪魔して思うように捜査が進まない…
「亜門さん…どうしますか?」
「そうだな、今日は戻ろうか」
私が傘をさそうとすると…
がしゃんっ!!
「えっ?」
「どうした?ゆりこ」
先に傘をさして歩き始めていた
亜門さんがこっちに振り向く。
「すみません!
傘が壊れてしまいました…」
「なに!?」
。。。
「すみません亜門さん…」
「大丈夫だ。
濡れて、風邪でもひいたら明日の捜査に響くからな」
壊れた私の傘は使い物にならないと判断して
亜門さんの傘の中に入らせてもらった。
ああ……
いまかわ二等何やってるの
亜門さんに迷惑ばかりかけて…。
うつむいて歩いていたら
あっという間に20区支部についていた。
「ありがとうございました。
今度から気をつけます…」
「ああ
風邪ひかないようにな」
今日はちょっと落ち込み度が
いつもの倍な気がする…。
鈴屋くん鈴屋くんって
夢中になりすぎてたみたい。