第3章 すこしちがう。
「鈴屋くん!?どうしたの!?」
「あ~!ゆりこ!
おはざす!亜門さんも」
ふと外を見ると、大雨が降っていた
私が家を出たときは降ってなかったのに。
鈴屋くんってば傘を忘れたのかな…
「鈴屋くん!こっちに来なさい」
「ェっ!?」
私は鈴屋くんの手を取って走りだした
亜門さんの事を置き去りにして…
バスタオルを持って会議室の扉を開ける。
誰もいないみたい
「もう、鈴屋くん風邪ひいたらどうするの?」
鈴屋くんの濡れた髪の毛を
わしゃわしゃ拭く。
「大丈夫ですよ~」
「私は心配してるのに…!
もうっ!はい!これ着て」
私のロッカーに入っていた服を鈴屋くんに渡した
鈴屋くんは嬉しそうな顔をして
「ゆりこの服ですか!?
いい匂いです~」
ぐぬぬ…可愛い。
「そっ、そんな事いいから早く着て」
「は~い」
私の目の前でびしょ濡れの服を
脱ぎだしたから
恥ずかしくなって目をそらした。
「着れました!
ん~…嬉しいです~」
反省してないなこの子……
「じゃあ、今日はそれで過ごすんだよ。」
「ありがと~です」
「じゃ、亜門さん置き去りにしてきちゃったし、戻る…ね?」
扉を開こうとしたとき、
後ろから鈴屋くんに抱きつかれた
「鈴屋くん…」
「僕はもっとゆりこと一緒にいたいです」
私にまわされている腕の力が
強くなる
「私、もう行かなきゃ…」
「逃げないで」
私の体はくるっとまわされて
鈴屋くんと見つめ合う形に。
鈴屋くんに触られてると全身の力が抜けちゃう
「僕を見てくださいゆりこ」