第8章 髪を切ったら、“知らない恋”に捕まった【美容師】
翌日、土曜日。
何もすることがなくだらだらと昼過ぎまで寝ていた。
枕元にあるスマホを見ると怒涛のような着信履歴。表示された名前は紛れもなくあの浮気男のアイツだった。
昨日美容院に入ったときマナーモードにしてそれっきりだったっけ。
嫌なこと思い出してしまった。
いくつかLINEも入って来ていて 話し合いたい らしいことが綴られていた。
私は別れると決めたのだ。もうそれは変わらない。
これ以上着信やらなんやらで迷惑を掛けられたくない。家も知られているのでこちらに来ることだけは避けたい。
仕方ない、顔合わせて納得してもらおう。
私はアイツと、私の家の間にある、よく二人でいったカフェに呼び出すことにした。
電話は面倒なのでLINEでその旨を送る。
さて着替えようとしたところで目に付いたのはアイツがいつも可愛いといってくれていた服。
いや、これはない。私は昨日買って袋に入ったままの服を取り出しそれに着替えた。
別れ話をするのにお洒落をする必要はないのだが折角新しい服を着たのだからきちんと髪をセットしてお化粧もいつもと変えてみた。
うん、今日からの私は前と違う。そんな気分の切り替えにもなった。
別れ話をしにいくのだから気は重いものの随分と紛れた気がする。