第6章 Happy Birthday to me...【ラフ甘男子】
少し明るめの髪をふわふわとさせて、シャツの上に大きめのパーカーを羽織り細身のジーンズ。
ずいぶんとラフな格好をしているが様になってる。
私より背は高いものの平均よりは低め。小柄な印象を受ける。
煙草を吸うわけではなさそうなのに、この灰皿の隣でぼんやりとしていた。
何処かで見たことがあるような、でも思い出せない。
最近も何処かであった気がするんだけど、と記憶をたどるも思い出すことはなかった。
気まずい空気が流れる前にと、私は今手に持っている煙草を最後に思いきり肺に入れ込んだ。
「お姉さん、そこのケーキ好き?」
「は?」
私は驚いて煙を飲み込んでしまう。
咳き込む私の背中を彼はとんとん叩きながら 突然話しかけたことを謝罪した。
「大丈夫ですか?すみません。つい」
「だ、大丈夫。吃驚しただけ」
彼は申し訳なさそうに俯いていた。
小さな身体が余計小さく見える。
「えっと、ここの、ケーキ?」
私はケーキの箱を少し持ち上げて、側面に書かれたケーキ屋のロゴマークを彼に見せた。
「そう。そこのケーキ、好きですか?」
「好きじゃなきゃ、買わないわよ。
帰って一人で食べんのよ、ワンホール」
何でホントのことを言ってしまったのか分からない。
見たことはあるような気がしても所詮知らない人だから見栄を張る必要はないと考えたのか、
それとも急に話しかけられて頭が回らずついつい事実を口に出してしまっただけなのか。