第4章 ねえほら、愛してると言ってみなさいよ。
本当は暇じゃなかったし、言うほど暇人でもない。
声をかけたら付き合ってくれる友達だって居るし、家には昨日買ったばかりの本が数冊。
友達に映画に誘われてたけど、今日ヤサカ君が誘ってくれそうな気がして断ってた。
何も知らないヤサカくんは暇なのか首を回して肩をポキポキ鳴らしている。
それ、あんまりよくない事ってこの間会った時に熱く語ってたような気がしたけどの忘れたのかな。
「最近楽しいことあった?」
「特にない。ヤサカ君は?」
「俺もねーなあ」
いつも通りの会話。
たまに最近見た映画や読んだ本の話に発展することもある。
「なあ、お前彼氏とかいないわけ?」
「居たら此処に居ないでしょ」
「ま、そうだな」
いつも通りの会話。何回これを繰り返すのか。
「俺には聞いてくれないの?」
「はいはい。ヤサカ君はお付き合いしてる人居ますか?」
また性格悪い顔をしているヤサカ君に呆れ私の言葉に感情は篭らない。
まあ、いつも通り過ぎるからってのもあるけど。
「居ると思う?」
「ヤサカ君はもし彼女が居たら、何したい?」
「居ないの前提かよ」
「答えてみなさいよ」
まあ、これもいつもの会話の流れですけど。
「今日は水族館にでも行きたい気分かな」
「じゃあ、行きますか」
そう、これで行き先は決まる。
行き先は変わるものの、ヤサカ君が架空の彼女と行きたい場所に二人で行くのはいつも通りのことだ。
もちろんいつもこの会話を通して。